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土と内臓 微生物がつくる世界(原題:The Hidden half of Nature)

書感                     ジョンレノ・ホツマ
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土と内臓 微生物がつくる世界(原題:The Hidden half of Nature)
ディビット・モントゴメリー+アン・ビクレー著 片岡夏実訳 築地書館 2016.11発行 2700+α

著者はワシントン大学教授。地形の発達、地形学的プロセスが生態系と人間社会に与える影響を主要な研究テーマとしており、奥さんは、生物学者、環境プランアーであり、共著。
著者が購入した家の芝生の庭に、灌木や樹木を植え草花を植えようとしたら、地面の下はコンクリートのような氷礫土であった。堆肥を集め、木くずや落ち葉、ウッドチップ、スターバックスのコーヒーかす、動物園のdoo(うんち)など、5年かけて豊かな土壌に改善した苦労が描かれている。
しかし、奥さんのアン・ビクレーが子宮頚部細胞の癌になってしまい、手術を無事に終えた後、癌と食生活の関係を考えるきっかけが出来ます。それまでの体験を通じて、人間の体内の微生物の捉え方を見る目が変わってきた経緯を詳細な研究調査の結果を踏まえてまとめています。。

植物の根と、人の内臓とは、全く結びつかないものでありながら、著者の視点から見えたのは、豊かな微生物の生態圏という中で捉えると、全く同じ働きをしていることが確認できたからである。

訳者あとがきから、ポイントを抜粋すると、コッホやパスツールらの病原体の発見以来、病原体としての微生物(細菌論)の考えに基づき、様々なワクチンや抗生物質が作られ、おかげで多くのひとの命が救われてきた。しかし、抗生物質の乱用は薬剤耐性菌を生み、また体内の微生物相を改変して免疫系を乱して慢性疾患の原因になっている。
同じことが、土壌でも起きている。有機物と土壌の肥沃度の関係に気づき、農地に堆肥や作物残滓などを与えてきた。科学者が、有機物に含まれる栄養分は植物の成長に寄与していないことを発見すると、化学肥料がそれにとって代わった。当初、科学肥料の使用で爆発的に収穫が増大したが、やがて収量は低下し、病気や害虫に悩まされるようになった。実は、土壌中の有機物は植物そのものではなく土壌生物の栄養となり、こうした生物が栄養の取り込みを助けて、病虫害を予防していた。と、うまくまとめています。

農地、土壌に棲む微生物へ、また、人の体内に棲む微生物へも、良かれと思われていた昨今の無差別攻撃を疑うきっかけが生じた。人間が行ってきた歴史を振り返ったとき、微生物の存在、働きを理解し、微生物を主体として見ると、食べ物や医療など良かれと手を加えてきたことがむやみに微生物に攻撃をしてきたことに気づき、見方が変わった。

一見飛びつきにくい内容、ボリュームでしたが、根底の微生物の動きからくわしく観察しており、経緯が凝縮されており、個々の内容は多岐に亘るので省略しました。
以下に目次の項目のみ列記いたします。

目次

はじめに-農地と土壌と私たちのからだに棲む微生物への無差別攻撃の正当性が疑われている

第1章庭から見えた、生命の車輪を回す小宇宙

死んだ土/堆肥を集める/夢にみた庭づくり/夏の日照りと冬の大雨/スターバックスのコーヒーかすと動物園の糞 手品のように消える有機物/花開く土壌生物の世界/五年間でできた沃野/庭から見えた「自然の隠れた半分」

第2章高層大気から胃の中まで-どこにでもいる微生物

どこにでもいる微生物/生き続ける原始生物/遺伝子の水平伝播もしくはセックスによらない遺伝的乱交/牛力発電

第3章生命の探究-生物のほとんどは微生物

自然の名前-リンネの分類法/ちっぽけな動物たち-顕微鏡の発見/発酵する才能-パスツールが開いた扉/生命の木を揺さぶる手-ウーズの発見/ウイルスの分類

第4章 協力しあう微生物-なぜ「種」という概念が疑わしくなるのか

微生物の共生/細胞の一部でありながら一部ではない-ミトコンドリアと葉録体/マーギュリスとグールド/シンビオジェネシスー別個の微生物が合体する/生命の組み立て

第5章 土との戦争

氷期のあとで/光合成の発見/最少律/小さな魔法使い/還元の原則-ハーバーボッシュ法とハワードの実践的実験/化学肥料はステロイド剤/触媒としての微生物/「農業聖典」とアジアの小規模農業/土壌の肥沃度についてのパラダイムシフト/第二次大戦と化学肥料工場

第6章地下の協力者の複雑なはたらき

土中の犬といそがしい細菌/太古のルーツ/根圏と微生物/食べ物の力/植物と根圏微生物の多彩な相互作用/菌類を呼ぶ-植物と菌類のコミュニケーション/沈黙のパートナー-土壌生態学が解明する地下の共生・共進化

第7章 ヒトの大腸-微生物と免疫系の中心地

がんが見つかる/手術後に考えたこと-がんと食生活/サケの遡上と川の環境/コーヒーとスコーンの朝食/がん予防の食事-ハイジの皿/美食の海で溺れる/食事をラディカルに見直す/食べる薬を栽培する菜園/ヒトマィクロバイオーム・プロジェクト/人体の中の微生物/大腸はなぜ免疫系の中心なのか

第8章 体内の自然

減った病気と増えた病気/免疫の二面性/過ぎたるはなお/二つの免疫/恐れ知らずの探検家/   抗原という言語/炎症のバランス/微生物の協力者/共生生物の種/バクテロイデス・フラギリスの奇妙な事例/ちょうどよい炎症/太古からの味方

第9章見えない敵-細菌、ウイルス、原生生物と伝染病

ポリオ/天然痘/センメルワイス反射

第10章 反目する救世主-コッホとパスツール

シルクとパスツール/顕微鏡とコッホ/細菌の分離/細菌論のルーツ-培養できる微生物に限定される/奇跡の薬/奇跡の値段

第11章 大腸の微生物相を変える実験

内側からの毒-腕内微生物と肥満/脂肪の二つの役割/腸内細菌相の移植/消化経路-胃・小腸・大腸の役割/ゴミを黄金に-大腸での発酵細菌の活躍

第12章 体内の庭

プレバイオティクス/婦人科医療と細菌のはたらき/糞便微生物移植の効果/穀物の問題-完全だった栄養パッケージをばらばらにする/内なる雑食動物/食生活を変えて腸内の微生物ガーデニングを意識する

第13章

 ヒトの消化管をひっくり返すと植物の根と同じ働き
自然の預言者/減った栄養素/諸刃の遺産/ミクロの肥料/見えない境界線-根と大腸は同じはたらき

第14章 土壌の健康と人間の健康-おわりにかえて
以上
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by hon-hotsuma | 2017-02-22 11:44

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