ほつまつたえ
書感:遺伝子組み換え食品入門
書感:遺伝子組み換え食品入門
「必要か 不要か? 安全か 危険か?」
天笠啓佑著 緑風出版 2016/9増補改訂版発行 1800+α
バイオテクノロジーの応用が進み、自然界にはなかったものがつくられ、生態系への影響や食の安全性が脅かされている。最近の研究では、遺伝子組み換え食品が免疫機能を低下させ、肝臓や腎臓などを損傷し、次世代以降にも悪影響があることが確認されている。
モンサント社を筆頭とする多国籍企業は、圧倒的な支配力を基に遺伝子組み換え種子の世界的拡大をもくろんでいるが、新たな害虫の発生や耐性雑草の発生、汚染など多くの問題を引き起こしている。また、インドでは、遺伝子組み換え綿の生産農民が収穫減から大量の自殺者をだすなど、大きな社会問題も引き起こしている。
TPPは、これらの進行するグローバル化の象徴であり、これへの参加は、コメを軸に守ってきた日本の農業の保護政策も「貿易障壁」の対象になり、破滅的打撃を受けることが予想される。それにより、食の自給も奪われ、遺伝子組み換え作物など危ない輸入食品に食卓を占拠されるおそれがある。
本増補改訂版は、遺伝子組み換え食品をめぐるさまざまな問題をやさしく解説し、その危険性を明らかにすると」ともにTPP交渉を踏まえ最新の問題点を加筆した。と裏表紙にまとめられている。
以下に気になった個所をいくつか取り上げてみました。
遺伝子組み換えについて、安全性や倫理面での議論は、研究者や企業、政府関係者以外の人がかかわったことはほとんどない。一般市民、消費者はいつも議論の枠外におかれていた。これまでも研究開発を推進したい人たちによって進められてきた。現在もそのままである。
私たちの食卓には、いまたくさんの遺伝子組み換え作物を原料にした食品が並んでいるが多くの消費者がその事実を知らない。なぜか、日本が世界で最も遺伝子組み換え作物を輸入している国の一つだから。
遺伝子組み換え食品は、作物としてはトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿の四つです。いずれも大半が食用油か家畜の飼料となっている。その油を使ったマヨネーズやマーガリンなどが作られており、あるいは醤油やコーンスターチなど加工度の高い食品になっている。また、コーンスターチからはブドウ糖果糖液糖などの異性化液糖、デキストリン、醸造用アルコールなど数多くの食材や添加物が作られている。カラメル色素、キシリトールのように原料をトウモロコシに依存しているのでほとんどが遺伝子組み換え食品添加物となる。これには表示がないため遺伝子組み換え食品とは知らずに食べている。食品添加物、調味料(アミノ酸等)、ビタミンB2なども該当する。
遺伝子組み換え種子は、米国モンサント社(ベトナム戦争で枯葉剤を生産していた)の独占状態。世界の種子の27%を支配、世界の大豆の80%近くを支配している。これに米デュポン、スイス・シンジェンタ、独バイエル・クロップサイエンス社を加えたバイテク企業4社によって、世界の種子の56%が支配されている。食料を独占するためであったのが鮮明になった。独占が可能になったのは遺伝子が特許になり他社の参入を排除、種子企業の買収を進め種子販売も独占。モンサントの一人勝ちを後押ししているのが、米国政府の食糧戦略、その資金源がマイクロソフト社の巨額の儲けを基盤のビル・ゲイツ財団である。
遺伝子組み換え作物に用いられる除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートの毒性について、癌を引き起こし、出産に悪影響があり、パーキンソン病を含む神経系の疾患をもたらす。また、ヒト胚(受精卵)を含む細胞にダメージをもたらし、ホルモンバランスを崩すと指摘。WHOの国際がん研究機関がグループ2Aの発がん物質と評価した。
米国で食品安全近代化法が2011に登場し、元は食の安全を守る目的であったが、食品の定義の中にナタネ、大豆、トウモロコシのような種子が入っており、採取された種子扱う種子洗浄業者が管理の対象に組み入れられたため、自家採取ができなくなりモンサント社などの多国籍遺伝子組み換え種子企業から種子を買わざるを得なくなった。
遺伝子組み換え食品そのものがとても安全とは言えないことを2009年米国環境医学会(AAEM)が意見書を出した。いくつかの動物実験が示しているのは、遺伝子組み換え食品と健康被害との間に、偶然を超えた関連性を示している。遺伝子組み換え食品は、毒性学的、アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康、代謝、生理学的、そして遺伝子学的な健康分野で、深刻な健康への脅威の原因となる。
○免疫機能への悪影響
○子孫が減少したり、ひ弱になる影響。
○肝臓や腎臓など、解毒器官の損傷。
遺伝子組み換え食品の表示について、遺伝子組み換え食品か否かを検証できない場合は表示する必要がないことになっている。消費者にはわからない。
現状では、豆腐や納豆、おから、味噌、ポップコーンなど、極めて限られた食品しか表示義務はない。
アルコール飲料は酒税の関係で消費者庁の管轄外で外れている。
例えば、カップ麺の表示で、植物油脂は、大豆油など四作物すべてに遺伝子組み換え食品が使われている可能性あり。加工でんぷん、糖類はトウモロコシ、植物蛋白、蛋白加水分解物は大豆、調味料はトウモロコシ由来の可能性あり。
家畜の飼料にも使われており、その飼料で育った家畜由来の食材、チキンエキス、動物油脂、乳蛋白、卵、豚肉。これらは間接的な遺伝子組み換え食品。
子供のおやつ、クッキー、ビスケット、チョコレートでは
植物油脂、ブドウ糖果糖液糖、異性化糖といいコーンスターチから作られ、ショートニングとマーガリンは植物油脂に水素を添加、そのためトランス脂肪酸が多いことでも問題、乳化剤は大豆のレシチンが使われている。日常よく食べているお菓子のほとんどに多種類の遺伝子組み換え由来の食材が使われている。
多国籍企業の支配下よりも、昔のように自給自足を考え直す良い機会と捉えたい。トランプ氏によりTPPも見直す良い機会が与えられたと考え直して欲しいものと思う。
以上
ジョンレノ・ホツマ
「必要か 不要か? 安全か 危険か?」
天笠啓佑著 緑風出版 2016/9増補改訂版発行 1800+α
バイオテクノロジーの応用が進み、自然界にはなかったものがつくられ、生態系への影響や食の安全性が脅かされている。最近の研究では、遺伝子組み換え食品が免疫機能を低下させ、肝臓や腎臓などを損傷し、次世代以降にも悪影響があることが確認されている。
モンサント社を筆頭とする多国籍企業は、圧倒的な支配力を基に遺伝子組み換え種子の世界的拡大をもくろんでいるが、新たな害虫の発生や耐性雑草の発生、汚染など多くの問題を引き起こしている。また、インドでは、遺伝子組み換え綿の生産農民が収穫減から大量の自殺者をだすなど、大きな社会問題も引き起こしている。
TPPは、これらの進行するグローバル化の象徴であり、これへの参加は、コメを軸に守ってきた日本の農業の保護政策も「貿易障壁」の対象になり、破滅的打撃を受けることが予想される。それにより、食の自給も奪われ、遺伝子組み換え作物など危ない輸入食品に食卓を占拠されるおそれがある。
本増補改訂版は、遺伝子組み換え食品をめぐるさまざまな問題をやさしく解説し、その危険性を明らかにすると」ともにTPP交渉を踏まえ最新の問題点を加筆した。と裏表紙にまとめられている。
以下に気になった個所をいくつか取り上げてみました。
遺伝子組み換えについて、安全性や倫理面での議論は、研究者や企業、政府関係者以外の人がかかわったことはほとんどない。一般市民、消費者はいつも議論の枠外におかれていた。これまでも研究開発を推進したい人たちによって進められてきた。現在もそのままである。
私たちの食卓には、いまたくさんの遺伝子組み換え作物を原料にした食品が並んでいるが多くの消費者がその事実を知らない。なぜか、日本が世界で最も遺伝子組み換え作物を輸入している国の一つだから。
遺伝子組み換え食品は、作物としてはトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿の四つです。いずれも大半が食用油か家畜の飼料となっている。その油を使ったマヨネーズやマーガリンなどが作られており、あるいは醤油やコーンスターチなど加工度の高い食品になっている。また、コーンスターチからはブドウ糖果糖液糖などの異性化液糖、デキストリン、醸造用アルコールなど数多くの食材や添加物が作られている。カラメル色素、キシリトールのように原料をトウモロコシに依存しているのでほとんどが遺伝子組み換え食品添加物となる。これには表示がないため遺伝子組み換え食品とは知らずに食べている。食品添加物、調味料(アミノ酸等)、ビタミンB2なども該当する。
遺伝子組み換え種子は、米国モンサント社(ベトナム戦争で枯葉剤を生産していた)の独占状態。世界の種子の27%を支配、世界の大豆の80%近くを支配している。これに米デュポン、スイス・シンジェンタ、独バイエル・クロップサイエンス社を加えたバイテク企業4社によって、世界の種子の56%が支配されている。食料を独占するためであったのが鮮明になった。独占が可能になったのは遺伝子が特許になり他社の参入を排除、種子企業の買収を進め種子販売も独占。モンサントの一人勝ちを後押ししているのが、米国政府の食糧戦略、その資金源がマイクロソフト社の巨額の儲けを基盤のビル・ゲイツ財団である。
遺伝子組み換え作物に用いられる除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートの毒性について、癌を引き起こし、出産に悪影響があり、パーキンソン病を含む神経系の疾患をもたらす。また、ヒト胚(受精卵)を含む細胞にダメージをもたらし、ホルモンバランスを崩すと指摘。WHOの国際がん研究機関がグループ2Aの発がん物質と評価した。
米国で食品安全近代化法が2011に登場し、元は食の安全を守る目的であったが、食品の定義の中にナタネ、大豆、トウモロコシのような種子が入っており、採取された種子扱う種子洗浄業者が管理の対象に組み入れられたため、自家採取ができなくなりモンサント社などの多国籍遺伝子組み換え種子企業から種子を買わざるを得なくなった。
遺伝子組み換え食品そのものがとても安全とは言えないことを2009年米国環境医学会(AAEM)が意見書を出した。いくつかの動物実験が示しているのは、遺伝子組み換え食品と健康被害との間に、偶然を超えた関連性を示している。遺伝子組み換え食品は、毒性学的、アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康、代謝、生理学的、そして遺伝子学的な健康分野で、深刻な健康への脅威の原因となる。
○免疫機能への悪影響
○子孫が減少したり、ひ弱になる影響。
○肝臓や腎臓など、解毒器官の損傷。
遺伝子組み換え食品の表示について、遺伝子組み換え食品か否かを検証できない場合は表示する必要がないことになっている。消費者にはわからない。
現状では、豆腐や納豆、おから、味噌、ポップコーンなど、極めて限られた食品しか表示義務はない。
アルコール飲料は酒税の関係で消費者庁の管轄外で外れている。
例えば、カップ麺の表示で、植物油脂は、大豆油など四作物すべてに遺伝子組み換え食品が使われている可能性あり。加工でんぷん、糖類はトウモロコシ、植物蛋白、蛋白加水分解物は大豆、調味料はトウモロコシ由来の可能性あり。
家畜の飼料にも使われており、その飼料で育った家畜由来の食材、チキンエキス、動物油脂、乳蛋白、卵、豚肉。これらは間接的な遺伝子組み換え食品。
子供のおやつ、クッキー、ビスケット、チョコレートでは
植物油脂、ブドウ糖果糖液糖、異性化糖といいコーンスターチから作られ、ショートニングとマーガリンは植物油脂に水素を添加、そのためトランス脂肪酸が多いことでも問題、乳化剤は大豆のレシチンが使われている。日常よく食べているお菓子のほとんどに多種類の遺伝子組み換え由来の食材が使われている。
多国籍企業の支配下よりも、昔のように自給自足を考え直す良い機会と捉えたい。トランプ氏によりTPPも見直す良い機会が与えられたと考え直して欲しいものと思う。
以上
ジョンレノ・ホツマ
by hon-hotsuma
| 2016-11-24 09:08
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